小学生の文章問題
今日は,小学生の文章問題について書いてみたいと思います。
文章問題,苦手な生徒,多いです。小学生の無料体験のお申し込みをいただいた際に,子どもさんの様子をお聞きすると,10人中6,7名の保護者の方は『文章問題が苦手で…』とおっしゃいます。
当たり前といえば当たり前です。計算問題はただ計算ができればよいのに対して,文章問題は
① 文章を読んで情報を把握,整理。
② (問題によっては)図をかいて筋道を考える。
③ それを元に式を立て,計算する。
④ 適当な説明をつける。
⑤ 単位を考え答えを書く。
とこれだけのことをしなければ正解にならない。つまり,簡単にいえば,『計算問題より難しい,故に苦手な生徒が多い』わけです。
ところが,この文章問題,保護者の方が解答を見るときに,気を付けて見ておいた方がよいことがあります。
例えば,小4のA君,『小数×整数』の単元を学習しているとします。計算問題は比較的得意なA君,宿題もすばやく仕上げています。教育熱心なお母さん,きちんとやっているのか心配で,必ず宿題に目を通していますが,計算はもちろん,文章問題もちゃんとできているので安心しています。
次は『小数÷整数』の学習です。計算は相変わらずよくできていますが,文章問題は解くのは速いのですが,×が増えています。お母さんは少し心配になりました。私が見たところ,そんなに難しい問題でもないのに…。かけ算の文章問題は完ぺきだったのに…。なぜ?
さて,ここがポイント。解くのは速い,しかしかけ算とわり算を両方習うと,早いけれどミスが多くなる…。
時間がかかる方のA君のテストやノートの解答をじっくり観察しましょう。まちがった問題や解らない問題はもちろんですが,正解した問題のところにも書いたり消したりの消しゴム跡がたくさんあったら要注意です。
つまりA君,何も考えていないのです。かけ算の学習時は,かけ算だから,文章問題に出てくる2つの数をかければよいと思っています。問題もろくに読んでいません。だから速いのです。そしてそれでもある程度正解することができるのです。
しかし,わり算を学習した後はそうはいきません。わり算には順番があり,㋐÷㋑なのか,㋑÷㋐なのかを考えなければなりません。また,もしかしたら㋐×㋑なのかも知れませんね。A君の消しゴム跡は,これらすべてを試してみた作業の跡というわけです。
程度にもよりますが,こういう発想で日々の学習をこなしていると,計算はできるし,文章問題もある程度正解率があるように見えるので,保護者の方も安心していて,気が付くと,思考する力が全く育っていないということになりかねません。発見が遅くなりがちです。塾でも,そういう状態の生徒さんをたくさん見させていただいてきました。
対処法は生徒さん一人一人について,適した方法を考えなければなりませんが,まずは基礎的な問題を中心に,例えばかけ算の問題を何問か,次にわり算の問題を何問かやっておいて,次にそれを混合して出題する。解らなければ,最初にやった問題と照らし合わせてよいことにする。こうすることで,A君,まず問題を読む,そしてどうすればよいかを考えることをしなければいけないということにやっと気が付きます。これが成績を上げる第一歩になるのです。
これは一例ですが,生徒さんの解答からは実にいろいろな情報が得られるものです。塾で,私が,塾生が持ってきたプリントをじっくりと観察するのはそのためです。観察から得られた情報が,その生徒に次に何をしてもらうことが力を付け,弱点を補強することにつながるか,指針を与えてくれるのです。
これを読んでいただいている保護者のみなさん。子どもさんのテストやノート,機会があれば一度じっくりと,隅から隅まで目を通してみてください。これまで気付かなかった,子どもさんの学習の真実(大袈裟でしょうか 笑)が見えるかもしれません。