きちんとした文章,魅力ある文章

 8月21日(火),午後1時半。時々雨が降っています。

 ものすごい湿気ですね。午前中の授業終了後,スーパーで買い物を済ませて外に出たら,メガネのレンズがたちまちに曇ってしまいました。

 ダブル台風,20号の方がまともに来そうです。木曜日の授業,できるでしょうか。ううう…。

 さて,今日は国語について。

 文章には正しい文章とそうでないものがあります。正しくない…とはもちろん,文法的に正しくないという意味です。

 ところが,文法的に正しい文章だからからといって,それが人を惹き付ける文章かというと,必ずしもそうではありません。逆に,文法的には問題の多い文章でも,人を引き付けるものもあります。

 かなり昔になりますが,ご当地もののミステリというのがはやりかけたことがありました。私が読んだのは,松山城公園とその周辺を舞台にした,実在の人が(多分実名で)登場するミステリだったと思います。

 ご当地ものの小説,今ではそれほど珍しくなくなりましたが,そのころはあまりなかったので,興味を惹かれて読んでみたのです。

 文章はとても上手・・というか,文法的には極めてまともな文章でした。ところが,数ページで読めなくなってしまいました。

 私,本を読み始めたら,時間はかかっても,たいていは最後まで読みます。ところがこれに関しては読めなかった。文章が私を,物語の世界に引っ張り込んでくれないのですね。入り込めない。

 一方,通称Kちゃんという作家の旅ものエッセイ。故人です。さる有名な女流爆弾マンガ家の元夫。故人の悪口はいけませんが,作品については,彼がそれを世に問うた以上,読んだ人間が自由に感想を口にする権利があると信じて書きますが,ひどい文章です。

 て,に,お,は の使い方,むちゃくちゃです。物事を形容する言葉も,お世辞にも適切とはいえません。その他諸々,突っ込みどころ満載です。正しい,正しくないで判断するなら,前述のミステリの文章方がよほどちゃんとした文章です。

 ところが・・・です。読み始めると,不思議と読めてしまうのです。内容としては旅エッセイ,軽いものが多いこともあるのでしょうが,文庫本一冊,あっという間に読了です。彼の世界に,ちゃんと入り込めるのです。

 ためしに娘(どちらだったかは忘れましたが)に読ませてみると,やはり,面白かったといっておりました。

 教科書に載っている文章,問題集で使われている文章,正しいものばかりです。正しい国語を勉強するためのものですから,それは当然です。しかし,正しくなくても,魅力を持った文章もあるのです。文章を読むことに興味が持てない生徒さん,こういう正道から外れたものに手を出してみるのも,文章を読むことを好きになるきっかけになるのかもしれません。国語がきらいで困っている生徒さん,ぜひお試しください。

 ただ,このエッセイはさすがに塾での学習には使いませんが。(笑)文章としてはそのくらいひどいです。でも,いまだに時々読み返します。あの文章,編集者が手を入れなかったのは正解です。解っていてそうしたのでしょうね。下手に手を入れると,あの味がなくなって,ただのへたくそな文章になると判断したのでしょう。プロです。

 今日も長文にお付き合いいただき,ありがとうございました。またぜひ足をお運びください。2学期に向けて,無料体験のお問い合わせもお待ちしております。

 

 

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